反復性中耳炎① ② ③ ④ の続きです。
日本小児耳鼻咽喉科学会で中耳炎をワクチンで予防できるかという話もありました。学会で聞いた話に少し加えて書いてみます。
中耳炎の原因となる代表的な菌に肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス菌があります。
このうちモラクセラ・カタラーリス菌に対するワクチンは存在しません。
インフルエンザ菌に対するワクチンでヒブワクチンがありますが、これはインフルエンザ菌b型に対するワクチン。中耳炎を引き起こすのはb型とはタイプの異なるインフルエンザ菌であり、ヒブワクチンは中耳炎に有効ではありません。
肺炎球菌に対するワクチンはやや有効といえるようです。7価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー)は、肺炎球菌性中耳炎の発症率を34%減少させたという海外のデータがあります。(しかし肺炎球菌には90種類のタイプがあり、ワクチンに含まれている以外のタイプの肺炎球菌性中耳炎はやや増加したそうです。)
まだ日本では未承認ですがSynflorix(10価肺炎球菌結合型ワクチン)というワクチンは、肺炎球菌およびインフルエンザ菌による中耳炎にも効果があるようです。
また、インフルエンザウイルスワクチンはインフルエンザ感染を減らし、その結果としてインフルエンザウイルスによる中耳炎およびインフルエンザに続発する細菌性中耳炎の発症を減らす事が知られています。(不活化インフルエンザワクチンの小児における検討で、インフルエンザ流行期のワクチン接種によって急性中耳炎全体の発症率を36%減少させるという報告があります。)