反復性中耳炎①の続きです。
反復性中耳炎のリスクの一つに受動喫煙があげられます。主に家庭内でタバコの煙を無意識に吸い込んでしまうケースです。
両親からの受動喫煙で反復性中耳炎リスクは1.74倍になるという報告があるとの事。母親が喫煙する場合、父親が喫煙する場合以上に強く影響があり、母親の妊娠中喫煙も中耳炎発症リスクを増加させるとの事でした。
受動喫煙を心配してベランダでタバコを吸うお父さんも多いと思いますが、吸い終わってすぐに室内に入ってはダメみたいですよ。喫煙研究の専門家によると、1~2分呼気にタバコの煙の成分が出ているんだそうです。
反復性中耳炎①
今日6月22日は夏至、1年で1番昼が長く、太陽の南中高度が最も高くなる日。634mある東京スカイツリーの影が、今日は100mくらいしかなかったらしいです。
横浜では今年はじめての真夏日になりました。これからの夏の暑い日には、耳鼻科の病気は減って、患者さんが少なくなります。
患者さんのいない時間を使って、日本小児耳鼻咽喉科学会で勉強してきた反復性中耳炎について書いてみます。(反復性中耳炎とは、目安として生後6ヶ月までに4回以上、あるいは1歳までに5回以上の急性中耳炎に罹患、または2歳までに5回以上の急性中耳炎に繰り返し罹患するものと定義されています。)
反復性中耳炎になりやすい因子の一つに「低年齢の保育園児」が1番にあげられます。特に2歳未満はハイリスクと考えられます。
中耳炎を引き起こす代表的な細菌として肺炎球菌とインフルエンザ菌があげられます。保育園児の75~90%は肺炎球菌を、80~95%はインフルエンザ菌を上咽頭(鼻の奥でのどの上の方)に保菌している(住みついている)との事。1歳までに上咽頭に肺炎球菌、インフルエンザ菌が住みついた場合、中耳炎を起こす確率は約4倍増加するとの事でした。
集団保育環境下ではウイルス性上気道炎(いわゆる風邪)にかかる回数が多くなり、これが誘引となって中耳炎をはじめとする細菌感染症を起こす回数も多くなってしまいます。
耳、鼻の事だけでいえば、低年齢からの保育園はあまりおすすめできないようです。
日本小児耳鼻咽喉科学会(大宮)
日本小児耳鼻咽喉科学会(大宮)に行ってきました。
最近治りにくく、何度も繰り返す、小児の反復性中耳炎が増えています。
今回「反復性中耳炎の危険因子とその対応」という内容のシンポジウムがあり、しっかり勉強してきました。(今日は帰りが遅くなったので、内容は後日まとめてみます。)
終了後、学会の会員懇親会が鉄道博物館で行われました。(こんな場所で行われる懇親会は初めての経験です。)
日本耳鼻咽喉科学会(京都)
昨日は休診日を利用して、京都開催の日本耳鼻咽喉科学会に行ってきました。
1番の目的は、京大山中先生のIPS細胞についての講演を聞く事。将来ノーベル賞をとるであろう先生の講演です。4月の日本医学会総会での講演を聞くつもりでしたが、震災の影響で中止となってしまったため、この日本耳鼻咽喉科学会での講演を楽しみに待っていました。
IPS細胞とは皮膚などの体細胞に遺伝子を作用することで作られる細胞で、様々な組織に分化する可能性を持った万能な細胞。IPS細胞が発明された事で、不治の病を治せる日が近づいているようです。
今年のスギ・ヒノキ花粉飛散数は史上2番目!
東京都の耳鼻科医による花粉症のページによると1月~4月のスギ花粉飛散数は9625.1個/c㎡、ヒノキ花粉飛散数は1925.5個/c㎡となり、H17年についで史上2番目となったようです。つらかったシーズンもそろそろ終わりになります。
この先長引く場合には、イネ科の花粉症やホコリ、ダニが原因のアレルギーなども考えられます。
スギ・ヒノキ花粉の飛散状況及び終息時期について
環境省が『平成23年春のスギ・ヒノキ花粉の飛散状況及び終息時期について』の報道発表をしました。これによると、スギ花粉は4月中に終息、ヒノキ花粉は5月上旬まで飛散が続くと予測しています。(昨年よりも2~3週遅いとの事です。)
『平成23年春における都道府県別スギ・ヒノキ花粉の実測飛散量』も発表しています。横浜市は4月18日現在10430個/c㎡で、例年比349%、前シーズン比986%となっています。
地域ごとのデータを見ていると、鹿児島、和歌山、高松で例年花粉が少なめなのは意外でした。札幌は120個/c㎡と別格でした。(沖縄では観測をしていないようです。)
ヒノキ花粉がピークに!
東京都のヒノキ花粉観測データを見ると、今週水曜日頃よりヒノキ花粉が急激に増えているのがわかります。
スギ花粉抗原とヒノキ花粉抗原は似ている部分があり、スギ花粉症の半数以上の人がヒノキ花粉でも反応するといわれています。
今週急に悪化した人の多くはヒノキ花粉症と思われます!
H17年にせまる花粉大飛散②
H17年にせまる花粉大飛散①の続きです。
東京都の耳鼻科医による花粉症のページ(観測地品川)によると、過去最大にスギ・ヒノキ花粉の飛散が観測されたH17年は、4月のスギ花粉観測数は1794.2個/c㎡、ヒノキ花粉観測数は2843.6個/c㎡を記録しました。この年、ヒノキ花粉飛散のピークは4月の1、2週目でした。今年の4月もヒノキ花粉要注意です!
H17年にせまる花粉大飛散①
東京都の耳鼻科医による花粉症のページによると、H23年1月から3月までの累積スギ・ヒノキ花粉観測数は9262.9個/c㎡(※)、これは史上最大飛散を記録したH17年の9318.2個/c㎡(1月から3月までの累積観測数)にせまる数値です。(※値はダーラム型花粉捕集器のスライドグラス1c㎡内に自然落下して捕集された花粉数を表します。観測地は品川です。)
ちなみに昨年1月から3月までの値は1463.5個/c㎡でした。
今年はそれだけ花粉の多い特別な年であるという事です。
地面の黄色い粉
『地面に黄色いものがたまっているという問い合わせが、気象庁に多く寄せられている』というニュースがありました。その正体はスギ花粉との事!
早速外に出てみると、玄関先で簡単に見つけることができました。子供用のおもちゃの顕微鏡で見てみると、確かにスギ花粉!(十数年前にスギ花粉を使って研究していた時期以来、久々にスギ花粉を見ました。)今年のスギ花粉がそれだけ多いという証拠です。
3月も下旬に入りました。スギ花粉はあと2~3週くらい(ヒノキやイネ科の花粉症のある方はもう少し長くなります)、この先少しずつ飛散量は減ってきます。しかし鼻粘膜は敏感な状態となっている方も多いと思いますので、よりいっそう注意してください。