木曜日の休診日を利用してアレルギー学会に出席してきました。
興味のある演題のひとつに『花粉症に対する舌下免疫療法について』がありました。
アレルギー性鼻炎(花粉症)の治療の一つに減感作療法というものがあります。アレルギーの原因物質(スギ花粉症ではスギ花粉から抽出されたエキス)を皮下注射していく治療法で、アレルギー症状の改善が期待でき、実際に薬物の使用を減らすことが出来ます。この減感作療法、理論的にはアレルギーの治療として理想的な治療法なのですが、痛みのある注射を数年以上続けていく必要があることや、まれにショックを起こすことがあり、日本の医療機関では一般的になっていません。(当院でも、万が一患者さんがショック状態になってしまったらとの考えから行っておりません。)
『花粉症に対する舌下免疫療法』は舌下にスギ花粉エキスを投与していく方法で、減感作療法より安全で、そしてより有効な治療法とも考えられ、将来的には自分自身が自宅で行っていくことのできる治療法と考えられています。現在日本医科大学などからなる厚生労働省の研究班で臨床試験が行われています。(ヨーロッパでは既に有効性、安全性が確立されており、花粉症だけでなくダニアレルギーの治療にも使用できるようです。)花粉症患者さんには非常に待ち遠しい治療法だと思いますが、大半の耳鼻咽喉科医も待ち望んでいます。臨床試験ではやく安全性、有効性が確認され、保険診療の適用される治療法となってくれることを望んでいます。